中山真研究室|皇學館大学

皇學館大学紀要59輯に論文が掲載されました

皇學館大学紀要59輯が、皇學館大学学術リポジトリ上で公開となり、中山の論文が下記の通り掲載されました。

中山 真 (2021). 社会的クリティカルシンキングと宗教意識の関連―不思議現象に対する態度との比較― 皇學館大学紀要, 59, 247-232.

要旨

本研究の目的は社会的クリティカルシンキング(以下社会的CT)と宗教意識の関連を検討することである。社会的CTは論理主義的な従来の批判 的思考に比べ,他者や社会的な文脈を意識することを優先した概念である。批判的思考と一見対照的であるように見えるのが宗教意識である。しかし,社会的CTを持つ者は,生活や文化に根付いた神仏の存在や宗教一般に対しては,好意的な態度は持つのではないかと推測される。大学生131名を対象に調査を実施した。調査内容は,基本属性,宗教意識尺度,短縮版社会的CT志向性尺度,不思議現象信奉尺度である。宗教意識と社会的CT志向性については,神仏の関与的存在と探究心,宗教肯定と論理の重視,自然・神秘と論理の重視,自然・神秘と探究心との間に弱い正の相関が見られた。次に,不思議現象信奉と社会的CT志向性については,スピリチュアル信奉と対人的柔軟性との間に弱い正の相関が,ジンクス信奉と脱軽信との間に弱い負の相関が見られた。社会的CTによる宗教意識と不思議現象信奉の関係の調整効果は,ジンクス信奉を目的変数,自然・神秘と脱軽信を説明変数にした場合に有意傾向が見られるに留まった。これらの結果から,社会的CTと宗教意識は対立するものではないと考えられる。

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